デンマーク2012研修レポート(その4)
- 2013.01.08 Tuesday
- 18:01
デンマーク2012研修レポート(その4)
毎年デンマーク研修ツアーを企画して希望者の方々と一緒に、デンマークを訪問していま
す。デンマークの文化や教育、福祉、暮らしなどを8日間にわたって視察し、日本に帰国し
てからの自らの暮らしや仕事へ、デンマークの高い幸福度を具現化する知恵を活用して
います。昨年の11月のツアーの様子を連続して紹介しています。今回はそのパート4で
す。お楽しみ下さい。
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【11月12日(月)首都コペンハーゲンの市内見学(その4)】
ランドタワーは高さ35mの円塔です。1642年に国王の命によって天文観測所として
建設されました。このタワーは17世紀の学者たちに利用されていた三つの設備を繋げる
役割も果たしていました。天文観測所と併設された学生対象の教会と大学図書館です。
★コペンハーゲンの中心街に立つランドタワー
2011年11月15日(月)15:40頃撮影
入口で入場料を払うと、階段ではなく螺旋通路をのぼって展望台に向います。7周半する
とタワーの上部に到達するようになっています。1716年にここを訪れたロシアのエカ
テリーナ王妃が夫のピョートル大帝を馬上に乗せて、この螺旋通路を駆け上ったそうです。
なんとも勇敢な(?)女性だったのですね。
ここの螺旋通路を見上げるたびに、そのお連れの者たちがあっけに取られている中をお酒
の勢いに任せて、王女様(お酒好きだったとか?)がご主人の大帝を馬に乗せて駆け上っ
ていく様子が目に浮かびます。今から300年前の出来事です。
★ランドタワーの屋上へと続く螺旋通路
2011年11月15日(月)16:00頃撮影
屋上からは360度のパノラマです。コペンハーゲンの中心部にあるので、この日歩いて
きたアマリエンボー城やフレデリクス教会、ローゼンボー城などが間近に見えます。少し
目を遠くにやると、様々な教会の尖塔が立ち並んでいるのが眺められます。その中で最も
高いのがコペンハーゲンの市庁舎の塔です。高さが110mあります。
市庁舎の塔にも曜日限定ですが上ることができます。以前、私も登ったことがありますが
エレベーターはなく階段を上っていきますが、塔の中は細いて急な階段なので健脚向きで
す。ハイヒールやスカート姿は遠慮した方が良さそうです。
★ランドタワーからの眺め:教会の尖塔が、その権威を示すように立ち並んでいます。
2011年11月14日(月)16:10頃撮影
さらに目を東に向けると、オアスン海峡を挟んでスウエーデンが見えます。海峡を跨ぐ橋
が2000年に開通して、両国の間を車や鉄道が行き来できるようになりました。その大
きな橋も見ることができます。360度の眺望は時間の経つのを忘れるくらいです。
隣接するトリニタチス教会の屋根裏部屋も見ることができます。昔使っていた道具などが
そのまま残されています。また、昔の大学図書館のスペースはいまはイベントスペースに
なっていて、様々な催しが行われています。イベントがない時は、ひっそりとしていて訪
れる人もまばらです。
★昔の大学図書館は今は催し会場として市民に開放されています。
2010年11月10日(月)17:00頃撮影
そこには小さなお店があり、絵ハガキや画集や置物などを販売しています。私はその落ち着
いた感じが好きなので、時々ここを訪れては、デンマークビールを飲みながら、購入した絵ハ
ガキを日本の友人や知人に宛てて書いています。昨年の私の年賀状には、その時の写真を
掲載しました。ちょっとしたテーブルにも素敵な照明が当たり、テーブルには所々に花が飾っ
てあり、とてもいい雰囲気です。ペンも自然となめらかに運びます。
★絵ハガキを書いている様子をレストスペースの店員さん(大学生アルバイト)に
撮ってもらいましたが手ぶれしていました。でも、これくらいボケでいる方がいい
のかもしれません(笑) 2011年11月16日(月)17:00頃撮影
ランドタワーから降りてくると、もう街は夕暮れ時です。お店のショーウインドーが一際明るく感
じられます。クリスマスも近くなり、飾り付けもクリスマスムード一色です。この商店街はストロ
イエと呼ばれていて、コペンハーゲンの人たちはもとより、世界中から訪れる観光客が買い物
や食事などに集まってきます。
約2kmにわたって続くストロイエは、世界最初の歩行者天国と言われていて、365日気持良
く安心して歩ける場所です。ストリートミュージシャンたちが行き交う人たちに、それぞれの歌
や演奏を披露しています。そんな雑踏の上には、北欧独特の蒼いという字が相応しい夕空が
拡がっています。
★黄昏時のストロイエの様子)
2012年11月15日(月)18:30頃撮影
デンマークを初めて訪れる人が一様に驚くのが、夜の明かりの少ないことです。ストロイエは
デンマークで最も賑やかな場所ですが、その場所でも写真のようにケバケバしいネオンサイン
や明るすぎる街灯や看板などはありません。それは、デンマークが「低エネルギー社会」づくり
を目指しているからです。
「右肩上がりの経済成長でなければ幸せになれない」=「だからエネルギーも右肩上がりで必
要だ」という考え方を、そうではなく、これ以上のエネルギー、特に温暖化ガスの排出や放射能
の危険性を増やさないという考え方を1985年に国会決議で明確に打ち出しました。それ以来、
デンマークは再生可能エネルギーの開発や、無駄な電力消費=エネルギー浪費をしない工夫
を国を挙げて取り組んでいます。
ですから日本から比べると薄暗い感じすらしますが、デンマークの人たちはこれで生活出来る
こと、これでも幸福度の高い暮らしを実現することを証明してくれています。幸せとはどういうも
のなのかがはっきり見えているからなのでしょうね。
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次回は三日目に視察したデンマークの国民学校(小中一貫の義務教育を行っている公立学校)
の様子などを中心に、デンマークの幸福社会を担う子どもたちがどのように育てられているかを
ご紹介したいと思います。お楽しみに!
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