随分ご無沙汰してしまいました。久しぶりにブログを書いています。数ヶ月間も更新していない
にもかかわらず、毎月1000回近いアクセスがあることに感謝しています。今日は、最近書いた
私のメルマガ「なかよし情報」で紹介して反響のあったエッセイを掲載しますので、お楽しみくだ
さい。
・ヒツジグサ 5月15日 筑紫野市 武蔵寺の心の字池にて撮影
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★ 6年間待っていたメール
私は不登校当事者の方が悩みや苦しみを分かち合い、あるいはその体験談を聴きながら自
らのこれからを考える場をいくつか担当しています。長い場所では、もう12年にもなります。そ
の間に本当に色々な方が参加し、そこで勇気や希望をもらって出発していく姿を見てきました。
そういう方々の幸せになっていく様子を見るのが、私の幸せでもあります。
その会場の一つに6年間通われ続けているAさんの話です。中学校1年生の時に息子さんが
不登校になり、最初は無理やり学校に連れていったり、やかましく言ったりしていましたが、全く
言うことをききません。そのうち部屋にこもってしまうようになり、とうとう話も出来なくなってしまい
ました。Aさんは困り果ててやって来られました。
最初のうちは、どうしたものかという不安から泣いてばかりおられました。自らの悩みを語ったり、
他の参加者の話など聴きながら、少しずつ不安や不満が軽減していったようです。不登校に
関するセミナーや講座などにも積極的に参加され、不登校についての正しい理解や姿勢など
が進むにつれて表情も明るくなられていきました。
しかし、息子さんは余程のことがあったのか、口をきいてもくれません。顔も合わせたくないらしく、
Aさんが寝静まったのを確認し部屋から出てきてはAさんが準備した食事を食べていたそうです。
中学3年間はまったく登校できませんでしたが、高校は通信制の高校に入学することができ
登校もするようになりました。と言うのも、父親のBさんとは色々なことが話せていたからです。
Aさんは息子さんのことについては全て夫のBさんから聴いていましたので、高校進学について
も心から喜んでいました。しかし、そんなことも本人と話すことは叶わないままでした。
高校の3年間、Aさんは息子さんのためにお弁当を作り続けました。自分の気持ちを伝えよう
と息子さんの部屋の前に手紙を置いたり、同じ屋根の下に住んでいるのにメールで話しかけた
りしましたが、何の返事もありません。それでもAさんは“きっとまた話し合えるようになる”と願っ
てあきらめませんでした。
この春、息子さんは他の地方都市にある大学に入学。家を出ての一人暮らしが始まりました。
引っ越しや入学もお父さんに手伝ってもらい、Aさんとは口もきかない状態のまま家を出ていき
ました。Aさんは初めての一人暮らしの息子さんのことを思ってメールを打ちました。自分がどん
なに息子さんのことを大切に思っているかを伝えようと、いつものようにダメ元の気持ちで。
ところが、なんと!そのメールに息子さんから「元気にしてるよ」のメールが返ってきたのです。Aさ
んは6年間、息子さんからのこの一言を待ち続けてきました。「おはよう」でもいい、何でもいい、
母親の自分に声をかけてもらうことを。何度もあきらめかけては、きっと思いは伝わるときがくると
信じて、手紙やメール、お弁当づくりを続けました。そして、とうとう、やっとその日が来たのです。
わずか数文字のそっ気ないメールでしたが、Aさんにとって、どんなに嬉しいメールだったことでし
ょう。
そのことを嬉しそうに、目に涙を浮かべて話されるAさんの様子を見ながら、本当に良かったと
私も思わず目頭が熱くなりました。息子さんとの新しい関係は、始まったばかりです。これから
も色々なことがあるでしょうが、これまでのことを思えば、何でも出来るように思います。
私が二十年近く、このような活動を継続出来ているのは、Aさんのように幸せになっていく場面
に立ち会わせてもらえるからです。人が幸せになっていくのを見ることは、こんなに嬉しいことは
ありません。自他一体の世界の顕現ではないでしょうか。Aさんから、喜びのエネルギーをもらっ
て私もまた一歩前に進みます。Aさんおめでとう!そしてありがとう!
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森の幼稚園 in デンマーク 訪問記(その2)
先週に続いてデンマークの森の幼稚園についてのレポート(その2)をご紹介し
ましょう。
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準備の歌と体操が終わると、子どもたちはそれぞれ自分の好きな遊びをしようと
お目当ての道具や場所に一目散に駆けていきます。この日は少し寒かったので、
ボーイスカウト協会から借りている丸太小屋では、寒くなったら温まれるように
焚き火が用意されていました。
でも子どもたちは元気よく遊びまわっていました。木登りしている子、手押し車
を椅子のようにして体をスッポリと包み込むようにして座っている子、かけっこ
して回る子など、楽しそうにそれぞれ思い思いに体を動かしています。
★手押しの一輪車を椅子代りにして座って何か話している女の子たち
空き箱や木の枝などを集めて、秘密の基地のようなつもりで遊んでいる男の子た
ちもいました。また寒くて丸太小屋の焚き火に集まっている子もいました。幼稚
園の職員さんは、子どもが何かを求めているときにはそれに応えますが、それ以
外は子どもの自主性に任せているので、ゆっくりとした雰囲気で子どもたちを見
守っています。
★戦車のつもりなのか、樹の枝を大砲のようにして遊んでいます。
子どもたちの遊んでいる様子を見た後は、広場の端にあった丸木小屋で焚き火を
囲んで幼稚園の職員へのインタビューの時間です。園長はローネさんという初老
の女性でデンマークで森の幼稚園の活動が始まった頃から関わっている人です。
もう一人はイギリス人のアンドリューという男性補助員さんでデンマーク人と結
婚して、その縁でこの幼稚園に関わっているとのことでした。
★木登りの好きな男の子 先生たちは遠くで見守っていました。
インタビューで答えて下さった内容を箇条書きにすると以下のようになります。
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○この幼稚園ではコムーネと小学校とが協力して、幼稚園と小学校合同の講習会
などをして、シームレスな(切れ目の無い)子どもたちの育ちへの支援を行っ
ている。
○森の幼稚園で大事にしていること
・子どもたちが共同生活を送れるように社会的な態度を身に付けること=協力
すること、なかよくすること
・体のバランスをつけること
・自然を通して五感を使って物事を理解する力をつけること
・おもちゃが無い場所=自分たちで見つけたり、考えたりする力をつける
・大人が少ないので、子どもが子どもでいられる=子どもが子どもであること
が一番大切
○屋外で体を動かすことは脳の働きをよくする=学校の学習の準備のための脳の
準備になる。※i−Padよりもはるかに効果的
○子ども同士のケンカへの対応:ケンカしたことで仲たがいしないように両方の
言い分を聴いて、仲良くするための提案を先生が双方にして仲良くする。喧嘩
しても罰は無い。みんなで「仲良く」するという指導をしている。
★園長先生の傍に寄っても、大人たちの話を遮ったり邪魔したりしない。
○この幼稚園には現在26名の子どもが通っている。事務所や丸太小屋は自前の
ものではなく、国やボーイスカウトの協力を得て貸してもらっている。職員は5名
(4名がペタゴー、1名が補助員)。園長のローネさんと補助員のアンドりューさん
は週37Hのフルタイムだが、他のメンバーはパートタイマーで対応している。森
の中では2人ずつペアで子どもたちの見守りをしている。
○市からの補助は子ども一人当たり5000クローネ(10万円)。職員の給与は市が
全額負担している。
○森の幼稚園は都市化や過疎化の関係で各コムーネ(市)に1園程度まで減って
いる。全国に100コムーネくらいあるので、それくらいの森の幼稚園があるので
はないか。
○森の幼稚園職員になりたいという希望者は結構いる。ペタゴー(早期教育支援
員)も人気が高いのだが、給料がよくないのが難点だ。森の中が職場なので体
力も必要。
★大人たちの話を邪魔しないで、職員のそばにおとなしく座っている。
このインタビューの時間に何人もの子どもたちが私たち大人の会話しているところ
に来ましたが、会話の邪魔をすることもなくおとなしく、私たちの様子を見ていた
のには驚きました。自分に先生などの気を引こうとしたり、て、会話を遮ったりし
ないのは、「聴く」という姿勢がこの幼児期から備わっているからではないでしょ
うか。
子どもたちの天真爛漫な様子と、この節度ある態度は森の幼稚園だけでなく、デン
マークにおける子どもの意見が尊重されるという大人への信頼感が根底にあるから
ではないかと思いました。
森という自然が子どもたちに言葉では伝えきれない大きなもの、豊かなものを伝え
てくれているように思いました。幼児期における自然の中で思い切り遊んだ経験は
彼らが大人になってからの社会づくり=人と自然との共生の社会観へと反映するこ
とでしょう。
【参考文献】
?森の力〜育み、癒す、地域をつくる 浜田久美子著 岩波新書1153
★第1章に「森の幼稚園は五感のゆりかご」で森の幼稚園が紹介されています。
?デンマークの教育に学ぶ 江口千春 著 ダム雅子 訳 かもがわ出版
★デンマークの幼児教育から高等教育までを写真をふんだんに取り入れて紹介。
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【お知らせ.1】デンマーク研究会
●私たちの暮らしの中に幸福度世界一のデンマークの哲学をどう活かすか、そし
て私たちの暮らしの幸福度がどうしたら高まるのか、共に考える場です。
●対象者:デンマークの「幸福度世界一」に興味のある方なら誰でも参加OK!
★主催:教育文化研究所
◎講師:長阿彌幹生(教育文化研究所 代表)
◎場所:福岡市人権啓発センター(ココロンセンター)
(福岡市博多区下川端町3番1号 博多リバレイン・リバレインオフィス10階)
※博多座の隣のビルです。地下鉄中洲川端駅に繋がっています。
◎日時:1月28日(火)18:30-21:00
◎参加費:500円
◎お問合せ:教育文化研究所 nakayoshi@kyouikubunka.com
【お知らせ.2】デンマーク北欧マンス講演会
第1部 講演:創業理念を今に伝える
・講師:川原 正孝 氏
(ノルウェー在福岡名誉領事、(株)ふくや代表取締役)
辛子明太子を作り上げた創業者の故川原俊夫氏の生誕100年を記念して
TVドラマ「めんたいぴりり」がTNCで放映されましたが、博多を代表す
る老舗の創業者の人となりが興味深く描かれており大変好評を博しまし
た。このドラマをもとに創業者の理念を、また水産国でもあるノルウェ
ーと明太子の関係など語って頂きます。
第2部 報告:デンマーク研修ツアー2013 レポート
・報告者:重松 勲 氏(福岡デンマーク協会運営委員)
昨秋、教育文化研究所の「デンマーク研修ツアー2013」に参加され
て、幸福度世界一のデンマークの教育や福祉の現場を訪れての感想や発
見などを報告して頂きます。
・日時:2月8日(土)14:00−15:30
・会場:大名クロスガーデン(ジョウキュウ醤油隣)
福岡市中央区大名1-12-7 Tel: 092-985-1001
・参加費:1000円
・主催:一般社団法人福岡デンマーク協会
・お申込み&お問合せ e-mail: info@fda-japan.com
【お知らせ.3】デンマーク講演:幸福度世界一の国デンマークから学ぶ
デンマーク研修ツアーを毎年企画。教育や福祉の施設を訪れデンマ
ークの人々方々との交流を行うなど体験型ツアーを行っています。
2014年秋にも開催予定。昨秋の教育文化研究所の「デンマーク研修
ツアー2013」で得られたデンマークの最新情報や、新しい発見などを
交えて、デンマークの幸福度について学び、それをどう私たちの日常に
活かすかを考えます。
長阿彌幹生のデンマーク読本
・講師:長阿彌幹生(教育文化研究所代表、福岡デンマーク協会理事)
・日時:2月15日(土)14:00−16:00
・会場:松楠居(しょうなんきょ) 福岡市中央区大名2-1-16(やぶ金2階)
福岡市中央区大名1-12-7 Tel: 092-985-1001
・参加費:500円(お茶付き)
・主催:一般社団法人福岡デンマーク協会
・お申込み&お問合せ e-mail: info@fda-japan.com
昨年の11月の初めに更新して以来、なんと2ケ月も筆不精をしてしまいました。
デンマークから帰国後、慌ただしい毎日だったわけではありませんが、何となく
義務感にかられて、このブログを書いている自分に気付いて、ちょっと間を置い
てみました。ようやく書きたくて書こうという気持ちになりました。
と言うことで、再開の記事はやっぱり昨年11のデンマーク研修ツアーからにし
ました。今回は12名の皆さんと一緒にデンマークに行ってきました。今回のツ
アーでは初めて「森の幼稚園」を訪問しました。デンマークから始まり、世界中
に広まった「森の幼稚園」とはどういう場所なのか?本やテレビなどで事前に
知っていたつもりでしたが、やはり実際に行ってみると、「百聞は一見に如かず」
で、その素晴らしさに感動しました。では、さっそく「森の幼稚園の訪問記」をご
紹介しましょう。
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今日は11月12日火曜日。朝から曇り空で少し小雨がパラついているが、寒くは
ない。コペンハーゲンから北に20kmくらい行ったところにあるホースホルム市
の森の幼稚園を訪問した。
私のツアーは出来るだけ公共交通手段を使って移動するようにしている。その
方が、デンマークの暮らしぶりを肌で感じることができるからだ。今日も定宿に
しているホテルからコペンハーゲン中央駅に向かい、。地下鉄でノアポート駅ま
で行き、そこからバスに乗り変える。40分ほど乗車し、バス停から15分ほど歩
いて森の幼稚園の事務所に8:50着。住宅地と森とが接する場所にある。幼
稚園名は「Koglerne」。
この幼稚園は親たちが組合を組織して、市に働きかけて運営費を予算化してコム
ーネ(市)と共同で運営している。親たちはバザーをしたり清掃をしたりで行政にお
任せではなく、自分たちで出来ることはするようにしている。
森の幼稚園はまさしく森自体が幼稚園になっている。但し、事務所や強い風雨の
場合に子どもたちが過ごす小さな部屋などのある建物と着替えや道具置き場の小
屋(昔は家畜小屋)がある。
森の幼稚園の日課は8:00-9:00 集合 9:00から森へ。11:30森で昼食。13:30まで
森で遊ぶ。14:00-16:00 建物の中で親たちが迎えにくるまで音楽活動等で過ごす。
私たちが到着したときは、まさに森の出かける直前だった。親たちに送られてきた
子どもたちが雨具に着替えるところだった。
少々の雨なら森で過ごすのだそうだ。出発の時は保育士やペタゴー、補助職員と
一緒に固まって歩いていた子たちが、森の中の道に入った途端に元気よく、遊び
場のある森の中の方目がけて走り始めた。時々、適当なところで止まっては後続
の人たちを確認しては進んでいる。一見、自由奔放なようだが、ルールはよく身
についていると感じた。
一人の職員が枯葉の下から蛾を見つけ出して、小さな男の子に手のひらに乗せ
た。こんなところにも命があるんだねと伝えるかのように優しく話していた。その子
はじっと不思議そうにこの蛾の様子を、どこかに飛び去っていくまで見つめていた。
細やかな気持ちの通い合いを大切にするかのような場面だった。
森の中を500mくらい歩くと丸太小屋のある場所にたどりつく。そこは広場になっ
ていて、子どもたちが思いっきり遊べるようになっている。遊び始める前に、まず
は円陣を組んで、歌を歌いながら体操とリラックスを兼ねた遊戯をする。この歌も
とても楽しい歌だった。子どもたちはこの歌を歌うことで、これからの遊びに入って
いく体と心の準備をしている。私も一緒に彼らと歌っていると、体の中から温かく
楽しくなってきた。
さあ、これからどんな遊びの時間が始まるのだろうか。楽しみだ。(次回に続く)
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「長阿彌幹生のデンマーク読本」(500円) 好評発売中!
【デンマーク読本購入方法】
●購入申込:?メール:nakayoshi@kyoikubunka.com
?電話・ファックス:092−923−9339(教育文化研究所)
●連絡内容:?お名前(フリガナ) ?郵送先住所 ?電話番号 ?購入冊数
●郵送料:4冊まで(100円)※それ以上は冊数により異なります。
●支払方法:お近くの郵便局で同封の払込取扱票にてお支払い下さい。
※払込手数料120円が別途必要です。
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今日は、天拝山で最近であった美しい虫たちを紹介しましょう。まずは玉虫(タマムシ)
です。天拝山からの下山の途中に枝に止まっている彼を見つけました。朝方、気温が急
に冷え込んだので動きが鈍く、私が掌に乗せてもじっとしていました。やがて私の温も
りで体温がを上昇したのでしょうか、少しずつ動き始めました。
★本当に見事というしかない美しさです。9月5日午前8時半頃撮影
それにしても何という輝きなのでしょうか。緑色を主体にして、黄金や赤銅などの金属的
な光沢を発しています。精巧に造られた金属模型のような感じすら受けます。タマムシの
羽根は長く色が変わらないので、昔から装身具に使われていたそうです。この虫の羽根を
集めて造られた厨子(ずし:仏像,仏画,舎利,経典などを安置するいれもの)が法隆寺
正倉院に宝物として所蔵されています。国宝の「玉虫の厨子」です。昔の人もこの色に魅
せられたのでしょうね。私もすっかり見とれて時間の経つのも忘れてしまいました。
さて、次はナミハンミョウです。この季節になると、天拝山の石楠花谷の入口に砂防堤を
建設するためにコンクリートの傾斜の急な道路が15mくらい設けられましたが、その面
に沢山います。
★やっと撮れました!敏捷でなかなか撮影できませんでした。9月8日午後3頃撮影
以前から写真撮影を試みるのですが、近づくと敏捷に飛び去って、なかなか撮影させてく
れません。昨日はコンクリート面に止まっているこの虫をズームで撮影することが出来ま
した。頭部は金属光沢のある緑色、前足はビロード状の黒紫色に白い斑点があり、前胸
部と前足の中央部に赤い横帯が入っていて、体の下面は金属光沢のある青緑色。まる
で美術工芸品のようですね。
★工芸品のようなナミハンミョウの色彩 9月8日午後3頃撮影
写真を撮影してみて、何となくピントが甘いのです。もちろん私の写真の腕のせいもある
のでしょうが、それだけではないように思えるのです。おそらく、ナミハンミョウの美しい色
が羽や体の表面から発せられているのではなく、少し深い部分から発せられているから
ではないでしょうか。もう少し、この虫のことを調べてみると面白いことが分かるかもしれ
ませんね。美しい色の謎に迫ってみようと思います。
お次はアキアカネです。漢字で書くと「秋茜」。いい名前を付けたものです。夏の終わり
から秋の訪れを感じるこの時期に飛び始めるに相応しい名前です。そのアキアカネが
丁度今頃から咲き始めるミズヒキソウ(水引草)に止まっていました。
★水引草で羽を休めるアキアカネ 9月8日午後3時15分頃撮影
ミズヒキソウはその名と通り、水引(みずひき)に似ているからその名がついたようです。
水引は贈答品や封筒に付けられる紅白の飾り紐のことです。細く伸びた茎に表が赤、裏
が白い小さな花が交互に咲いていて、水引を思わせます。全体を撮るとそれぞれの花が
小さくで何の写真か分かりにくく、接写するとこの水引状の全体の様子が分かりにくいの
で、なかなか撮影しにくい花です。でも、この日はアキアカネがこの花に止まってくれま
したので、もう迷うことなくパチリ!
自然の造形はいつも私を驚かせ、感動させ、喜ばせてくれます。その姿を見る度に「妙」
という字を思い浮かべます。「妙(みょう)」とは辞書では「言うに言われぬほど優れている
こと。またその様。」と書かれていますが、まさしく妙(たえ)なる様には、毎回「あなたに会
えて良かった!」と心から思います。
今回も出会った花々、虫たちに言いました。「ありがとう!」「また会いましょう!」
昨日から朝の空気が夏の朝独特のひんやり感になってきました。朝の山登りはこの温度
と湿度がとても快適です。ウグイスも気持ちが良いのでしょうか、「ホーホケキョ」と
歌っていました。夏の暑さに耐えている植物たちに朝露はほっとする清涼剤になってい
るのではないでしょうか。
★ツユクサ 7月16日午前7時過ぎ 天拝山石楠花谷にて撮影
椿の実が艶やかです。この実の中で椿油が蓄えられつつあるのかと思うと、その収穫が
楽しみになります。障害者施設での椿油づくりに関係するようになってからは、椿の実
を見ると、その向こうに色々なものが見えるようになりました。椿油との人間の歴史や
暮らしなど。私自身も椿油を髪の手入れなどでは欠かせないものとして使っています。
★ツバキの実 7月16日午前7時過ぎ 天拝山登山口にて撮影
秋になると実が弾けて、茶色の種子が地面に転がります。今年もそれを集めて施設に送
ることにしましょう。どれくらい集まるかなあ。今から楽しみです。
お待たせしました!待ってなんかいなかった?そうかも知れませんね。私は誰がこのブロ
グを読んで下さっているのかを知りませんから。でも、毎日数十人の方々が訪問して下さ
っていますので、その中にはそういう方もいらっしゃるのでは?
時々、「“なかよしブログ”の更新を楽しみにしています」とメールをくださる方もおられます。
又、あまりに更新の間隔が空くと、私が病に臥せっているのではないかと心配メールを送
って下さる方もおられます。本当に嬉しいし、ありがたいなあと思います。
★ヒツジグサ(睡蓮) 6月17日(月)午前8時半 武蔵寺(筑紫野市) 心の字池にて撮影
前回、ブログを更新したのが5月8日ですから、なんと!1ケ月半ほど空いてしまいまし
た。病に臥せっていたのではなく、ちょっと慌ただしくしていただけですのでご安心下さい。
と言うのも、九州で初めてという官民共働での催しなどに取り組んでいました。それも先
週無事終了し、多くの方々と共に語り合い、考える機会になったのではないかと思ってい
ます。
さて、今日は「梅雨」という言葉の自分流解釈を書きたいと思います。まずは一般的に解
釈されているものを紹介します。インターネットで調べると以下のようになっています。
・漢字表記「梅雨」の語源としては、この時期は梅の実が熟す頃であることからという説
や、この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、こ
れが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから
「梅」という字が当てられたという説がある。普段の倍、雨が降るから「倍雨」という
のはこじつけ(民間語源)である。諸説が名称の語源は定かではない。
★地面に落ちた梅の実 甘酸っぱい匂いがしました 6月17日撮影 紫藤の滝付近で
そこで私流の解釈なのですが、「梅雨」とは「熟した梅の実が長雨によって落実する頃」
なので名付けられたのではないかと思うのです。と言うのも、先日、天拝山の麓の紫藤
の滝という場所の近くで、この雨に打たれて落実した梅の実をたくさん見かけました。
地面に落ちている梅の実から発酵した甘酸っぱい匂いが漂っていました。
近くの渓流に沢山梅の実が落ちています。流されるのか、このまま腐るのか、はたまた
虫に食べられるのかは分かりませんが、いずれにしてもまた自然の輪廻の世界に戻って
いきます。私は冬の終わりに膨らんだ蕾の頃から、早春の開花、初夏の結実までをずっ
と見守ってきました。そして今、梅雨の雨の中で熟した実を地面に落として、再び土に
還っていく姿を見ています。自然界の命すべての一生を、この梅の実が眼前で顕してく
れているように思えます。
★渓流に落ちた梅の実 6月17日撮影 紫藤の滝付近にて
そんなことを思いながら、この梅の実を撮影していましたら、私の頭上でアオバヅクも
この様子を静かに見ていました。毎年、この渓流のすぐそばの大きなクスノキに営巣
し、雛を育てています。今年も律儀に戻ってきました。この日は、彼と一緒に梅の実を
見ていたように思えました。でも、彼は夜行性なので眠そうな目をしていましたが・・・。
★私の方を眠そうな目で見つめるアオバヅク君 6月17日撮影 武蔵寺境内にて